小学校受験において難関校とされる学校はいくつかありますが、その中でも慶応幼稚舎と並んで最高峰に位置づけられることが多いのが早稲田実業初等部です。我が家でも子供が受験したのですが、その経験を踏まえて、同校の受験者が知っておくべき歴史と校是校訓について説明していきます。
早稲田実業学校とは?その歴史を知っておこう!
まずはじめに、一般に早稲田実業と呼ばれることが多いこちらの学校ですが、正式には早稲田実業学校という名称であるということを頭に入れておくようにしてください。
その名の通り、日本有数の名門私立大学として知られる早稲田大学の系列校となっているのですが、早稲田系列の中では比較的独自の校風を有する学校であり、過去には大学の系列から外れていた時期もありました。
創立
早稲田実業の創立は古く、1901年に遡ります。
早稲田大学の前身である東京専門学校の関係者によって、創立者である大隈重信が理想とする教育を実現すべく設立されたのがこちらの早稲田実業学校なのです。
このようにして設立された早稲田実業の基盤を確固たるものにしたのは、2代目校長である天野為之氏です。
学校紹介などでもたびたび取り上げられる人物ですので、こちらの初等部を受験する際には、必ずその名を覚えておいた方がよいでしょう。
天野為之は、大隈重信が目指した「速成実業教育」を具現化すべく、小中学校における勤倹思想の教育の重要性を説き、質素倹約を旨としたのです。
早稲田騒動
早稲田実業を語る上で忘れてはならない重要な出来事が、1917年に発生した早稲田騒動です。
これは、直接的には学長を務めていた天野為之の後継者を巡る争いでしたが、その余波は大きく、結果的に天野為之本人が大学を去って早実に教育の軸足を移すきっかけとなったのです。
この騒動に伴って、早稲田実業は早稲田大学の傘下から離れて独自の道を歩むことになります。
系列への復帰は、それから実に40年以上後の1963年まで待たなければなりませんでした。
甲子園と早実
早稲田実業と言うと、高校野球のイメージが強いという方も多いのではないでしょうか。
実際、同校の高校野球部は春夏併せて40回以上も全国大会に出場しており、過去には全国制覇を果たした実績も有しています。
また、日本の野球史にその名を留める名選手も数多く輩出しており、中でも世界のホームラン王として知られる王貞治氏は、同校が生んだスーパースターとして海外でも広くその名を知られています。
それ以外にも、昭和の高校球界を彩った荒木大輔氏や平成に活躍した「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹氏など、同校出身でプロでも活躍した名選手は枚挙にいとまがありません。
初等部の設立
意外に思われる方もいるかもしれませんが、早実には創立以来長きにわたって中学と高校しかありませんでした。
そのため、小学校を設立するというのが長年にわたる学校関係者の悲願だったのですが、それがようやく実現したのが創立100周年を超えた2022年のことだったのです。
国分寺へのキャンパス移転に伴って、男女共学化を果たし、それとともに初等部を開設する運びとなったのですが、当初は6学年一律で募集することができず、1年生から少しずつ学生を集めていくといった地道な苦労も存在したようです。
カリキュラムも早実の伝統を踏まえて一から構築するという苦難の連続でしたが、待ちに待った早稲田の系列小学校ができたということで、設立当時から小学校受験を目指す子供たちの人気は高く、すぐに有数の難関校としての地位を確立するに至ったのです。
早稲田実業の校是と校訓とは?
早稲田実業学校には、校是と校訓があります。併せて校是校訓と呼ばれることもありますが、それぞれ別個の概念ですので、小学校受験をするにあたっては混同しないようにしておかなければなりません。
校是「去華就実」
まず、校是は「去華就実」(きょかしゅうじつ)というものです。
これは「華やかなものを去り、実に就く」という意味で、要は見た目の華やかさなどに目を奪われることなく、ひたすら実学を追求するという実業の精神が色濃く表れるものとなっています。
私立小学校ということで、ついお金をかけた立派な施設などに目が行きがちですが、早実の本質はそういったところにはなく、実社会で活躍できる人材の育成にこそ同校で学ぶことの意義があると思っておいた方がよいでしょう。
校訓「三敬主義」
校是と並んで、早実を小学校受験する際に必ず押さえておきたいのが、「三敬主義」と呼ばれる校訓です。
これは、「他を敬し、己を敬し、事物を敬す」というもので、自分や他人に加え、身の回りのあらゆる物事に対して敬いの心を持つことの重要性を説くものです。
この校訓を掲げていることから、こちらの学校は、単に学力や体力に優れているだけではなく、周囲を常に敬える心の豊かな子供を求めていると言えるかもしれません。
おすすめの参考書籍
以上で簡単に早稲田実業の歴史と校是校訓について紹介しましたが、実際に受験するにあたってはより深く同校について知っておくに越したことはありません。
そこで、同校について理解を深めるのに役立つ書籍をいくつかピックアップして紹介しておきます。
いずれも自分が読んで非常にためになったものばかりですので、ぜひ一読することをおすすめします。
早稲田実業学校初等部1年1組の学級通信
初等部創設初年度の実際の風景を克明に描いた書籍です。
同校の教育方針が手に取るように分かるので、ぜひ読んでおくとよいでしょう。
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早稲田実業 躍進の秘密
早実の歴史や沿革、教育理念などが一読するだけで分かる良著です。
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