ヒキガエルは、日本にいる両生類の中ではかなり大型の部類に属しているので、襲われることはあまりないと思われがちです。
しかし、実際はそのようなことはなく、無事に天寿を全うできるのは生まれてきたヒキガエルのうちのごくわずかです。
ここでは思った以上に過酷なヒキガエルの一生を見ていきます。
ヒキガエルの寿命
まずはじめに、ヒキガエルの寿命を見ておきましょう。
ヒキガエルの寿命は、オスとメスで異なります。
オスの寿命が11年ほどであるのに対し、メスは8年ほどと少し短めになっています。
女性の方が長生きする人間とは逆ですね。
なお、これはあくまでも途中で天敵に襲われたり、病気になったりしなかった場合の寿命です。
実際には様々な理由で途中で命を落としてしまうことが少なくないので、自然界で寿命まで生きられるヒキガエルはごくわずかであると思っておいてよいでしょう。
ヒキガエルは意外と長生きでしょ!?飼い始めたら長い付き合いになるので、しっかりとお世話をしてね!
卵~オタマジャクシ時代
ほかのカエルと同じように、ヒキガエルも卵で生まれて幼生期はオタマジャクシとして過ごします。
卵はひも状の卵塊に入っていて、その長さは何と20メートルにも及びます。
一つの卵界には1万もの卵が入っており、わずか1週間ほどで孵化して大量のオタマジャクシが生まれてくるのです。
オタマジャクシの時期は、3月から5月ごろまでの2ヶ月ほどです。
まずはじめに後ろ足が生えてきて、その後に前足が出てきます。
そこからはあっという間にエラ呼吸から肺呼吸に変わります。
そうなると水中に長い時間はいられなくなるため、陸上へと生活の場所を移することになるのです。
陸上に出ると2日ほどで尾がなくなり、親と同じカエルの姿になるのですが、そのサイズは非常に小さくわずか1センチほどしかありません。
オタマジャクシ時代には、大型の魚やトンボの幼虫であるヤゴ、タガメやミズカマキリといった水生昆虫などが主な天敵です。
これらの生物にとって、オタマジャクシは格好の獲物ですので、オタマジャクシから無事にカエルになれる確率はそれほど高くはありません。
また、カエルになりたての頃は、まだまだサイズが小さく乾燥にも弱いため、その時点で命を落とす者も少なくありません。
無事にエサにありついて命を繋いでいけるのは、ごく限られたヒキガエルだけなのです。
ヒキガエルの一年
何とか自分でエサを採取できるようになったヒキガエルは、夏から秋にかけてどんどん大きくなっていきます。
冬になると冬眠しなければならないため、この時期にいかに栄養をたくさん摂取して、身体を大きくできるかが厳しい冬場を乗り切れるかどうかの分かれ道になるのです。
10月下旬から11月ごろになってくると、気温が冷え込む日が徐々に増加し、それに伴ってヒキガエルの活動を少なくなり、やがて冬眠に入ります。
冬眠は土の中に潜って行いますので、飼っているヒキガエルが冬眠をし始めたら触らずにそっとしておいてあげましょう、
なお、9割ほどのヒキガエルは無事に冬眠を乗り越えられますが、1割ほどは冬眠中に天敵に襲われたり、栄養が十分に蓄えられていなかったりして、冬眠中に命を落としてしまいます。
特に、1年目のヒキガエルは冬眠中に死んでしまう確率が高いので、飼育する場合は注意しなければなりません。
2年目以降
3月に入ると、ヒキガエルは冬眠から覚めて、一斉に生まれた水場を目指します。
そこで異性と出会って交尾し、新たな命を紡ぐのです。
そこでは、オスたちが一匹のメスを巡って激しい争いを繰り広げ、その様子はカエル合戦と呼ばれるほどです。
その後は、1年目と同じく夏場から秋にかけてエサを食べてどんどん大きくなり、11月ごろに冬眠に入るというサイクルを繰り返します。
ヒキガエルの天敵
ヒキガエルは強い毒を持っているので、他のカエルほど天敵は多くありません。
ただし、まったくいないわけではなく、他の生物に食べられてしまって命を落とすケースも少なくありません。
ヒキガエルを好んで食する生き物の代表格は、毒ヘビとして知られるヤマカガシです。
ヤマカガシは、ヒキガエルの毒を体内に蓄積しているともいわれており、それを使って身を守っているのです。
卵から大量に生まれるヒキガエルですが、このような天敵の存在もあって、無事に寿命を迎えられるのは、わずか数パーセントに留まるのです。
まとめ
以上をご覧になった方は、ヒキガエルの一生がいかに過酷なものであるかが分かったのではないでしょうか。
一生懸命に生きているヒキガエルですので、飼育するつもりがないのに捕まえたりしないようにしましょう。
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