アメリカのロースクールに留学する意義とは?

アメリカロースクール留学入門

今回は留学前に感じていたアメリカのロースクールに留学することの意義と、留学を終えてからの感想を改めて振り返ってみました。今まさに留学中の方、今後留学を検討されている方にも参考になると思うのでぜひご覧ください。

留学前に感じていたこと

アメリカ人の考え方を知る

アメリカのロースクールに留学する第一の目的は、何といってもアメリカ法を本場の環境で学ぶということですが、実際にはローカルの学生が3年かけて学ぶところを1年でなぞるだけなので、習得できる知識には限界があります。

また、インターネットが発達した現在においては、わざわざ現地に行かなくても勉強するだけであれば日本にいても可能です。

さらに、実際に仕事をしている中でアメリカ法そのものを扱う機会はそうはありません。

ということで、法律の知識を頭に詰め込むのではなく、その根っこにある考え方やアメリカ人ならではの法的思考(リーガルマインド)を肌で感じて身に着けるというのが留学することの意義ではないかと思っていました。

そのため、単に授業に出て宿題をこなすだけでなく、できれば積極的にプロフェッサーや現地の学生と交流を深めたいと考えていたのですが、聞くところではJDの1年生に当たる1Lの学生は、良い成績を収めるのに精いっぱいでよく分からない留学生など見向きもしてくれないと言われているので、この点については正直自信がありませんでした。

向こうではロースクールの成績がその後のキャリアに直結するので、こればかりは仕方がないのかもしれません。上級生になると多少は余裕が出てくるようなので、そういった人たちにアプローチするのも一案かな。

英語力の向上

もう一つの留学の目的は、英語力を向上させるというものです。留学前の私は仕事で英語の契約書をレビューする機会こそそこそこあったものの、基本的には完全にドメスティックな日本人で、海外に行ったことも数えるほどしかありませんでした。

そのため、1年でどれくらい話せるようになるのかは、楽しみでもある一方、正直かなり不安な部分もありました。

ひたすら勉強しているだけでは読み書きの力は伸びても、英語でコミュニケーションできるようにはならないはずなので、ここについてはいかにネイティブスピーカーの人々と会話できるかがポイントになりそうです。

息抜きのため?

中には仕事で疲弊しきってしまったので、ご褒美の意味もかねて会社が留学に行かせるケースもあるようです。

が、それだと何のために留学しているのか分からないので、少なくとも私はそのような意識は持っていませんでした。

せっかく行くのだから、なるべく日本ではできないような体験をすることに意義があるのだと思います。

各国から集まってくる留学生と交流したり、現地のイベントに参加して文化の違いを肌で感じるということこそが、留学の醍醐味なのではないでしょうか。

留学を終えての感想

以上のような思いを抱いて1年間のロースクール留学に挑んだのですが、その結果はどうだったでしょうか?

リーガルマインドは身についた?

一言でいうと、思った以上に様々な体験ができたものの、当初の思いと違って果たせなかったことも結構あったというのが正直な感想です。

まず、アメリカ法の考え方については嫌というほど味わうことができました。

あらかじめ言われていたことではあるのですが、毎回の授業で出される宿題はかなりのボリュームで、それを読みこなすだけでも毎日4、5時間は必要でした。

宿題の内容は、基本的にケースブックと呼ばれる判例集を読んで、その内容を整理して頭に入れるというシンプルなものなのですが、そこで使われている英語が難解な上に、事実関係や判決に至る論理構成もかなり複雑なので、はじめのうちは1ページ読むにも四苦八苦しました。

ある程度分量をこなしていくうちに少しずつ現地の裁判官の考え方が分かってきたので、読むスピードも上がっていったのですが、今思うと、それがリーガルマインドが身についていったということなのだと思います。

英語力は伸びた?

次に、英語力は留学によって伸びたのでしょうか?

これについては、はっきり言って微妙です。

もちろん、留学前に比べてリスニングやスピーキングのスキルが向上したことは間違いありません。

しかし、ネイティブ並みに会話ができるようになったかと言われると、残念ながらそこまでではありません。

言い訳になってしまうかもしれませんが、ロースクールに留学した当初は宿題に追われて周りの学生と交流する余裕はほとんどなく、半年してようやく慣れてきたと思ったら、長期の休暇に入ったり、テストがあったりしてあっという間に1年が経ってしまったという印象です。

週末にサッカーやソフトボールを通じて現地の人々とコミュニケーションするなど、それなりに交流の機会は持ったつもりですが、会話力を鍛えるには1年という期間は短すぎました。

純粋に英語力を伸ばすことが目的なのであれば、ロースクールよりも他の選択肢を選んだ方が良いかもしれませんが、私の場合はそれだけが目的ではなかったので、結果的には満足のいく経験ができたと思っています。

リフレッシュできた?

リフレッシュすることを留学の目的にしていたわけではありませんが、振り返ってみると、良い息抜きにはなりました。

1年間という限られた期間ではありましたが、日々の仕事から解放されて、新たな体験ができ、当時はそれはそれで大変でしたが、終わってみるとそのどれもがかけがえのない思い出です。

留学で得られた知識はその後の仕事でも(たまに)活かせていますし、ロースクールで知り合った友人とは今でも連絡を取り合っていますので、ネットワークの拡大にも役立ったと思います。

まとめ

留学を終えての感想をまとめると以下のような感じになります。

  • 宿題は大変だがリーガルマインドはばっちり身につく
  • 英語力はそれなりに向上するが、それだけが目的であれば他の方法も選択肢
  • 仕事に追われる日々から解放されてリフレッシュできる
  • 日本にいると得られないネットワークを獲得できる

ほとんどの人が行って良かったと感じるはずなので、これから留学しようか迷っている方は、あれこれ悩まずにぜひチャレンジしてみることをおすすめします。

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