留学に向けた英語対策~4カ月でTOEFL iBTを30点アップさせた勉強法

アメリカロースクール留学入門

留学に向けての最初の難関はなんといってもTOEFLのスコアメイキングです。
単なる語学学習の場合は別として、ロースクールやMBAなどのgraduate schoolに留学するには一定以上の点数が必須です。
特にランキングで15位くらいまでに位置づけられるいわゆる上位校を目指すにはTOEFL100点が一つの目安とされているので、多くの留学志望者が目標にするのがこの点数です。
特徴のある試験なので、しっかりと対策を立てて臨めば短期間でスコアアップを果たすことも可能ですが、一方で漠然と勉強しているといつまでも点数が伸びず精神的に参ってしまいかねません。
試験の内容を把握したうえでどうすれば必要な英語力を伸ばせるか、自分の経験を踏まえてまとめてみました。おすすめ教材なども載せているので、留学に興味のある方は是非一読を!
留学以外にも英語力を鍛えたい方にも参考になる内容だと思います。

1.TOEFL iBTとは

TOEFLはよくTOEICと混同されますが両者の違いは、後者は日常英語やビジネス英語が中心でリスニングとリーディングを試すもの(文法もあり)であるのに対し、前者は学術的な内容がメインで大学の講義を受講する前提で作られている試験です。
TOEFLは、以前は紙媒体のPBTやコンピューターで受験するCBTといわれる形態がメインでしたが、今ではWebベースのiBTが主流です。

試験は、Reading(R)、Listening(L)、Speaking(S)、Writing(W)から構成されていて、各30点の120点満点です。リスニングとスピーキングがあるのが特徴です。
MBAやロースクールの上位校の合格のためには100点以上が目安とされているので、多くの出願者がこの点数を目指しています。最上位校であれば105点以上は欲しいところですが、かなり高いハードルとなっています。

自分の場合は6月中旬に初めて受けたときが66点で10月下旬に90点台半ばまでもって行けたのですが、一般に60点台からスタートして100点を狙うには概ね800時間の勉強感が必要といわれています。
時間をかければかけるだけ成果がでる試験なので、あきらめずやり抜く気持ちが何より大切です。体力的にも、金額的にもタフな試験ですので(試験時間は4時間半、受験料は1回200ドル(当時)です)。

2.READINGパートの勉強法

リーディングは、3つの大問から構成されています。
最初のパートは長文1題、あとの2パートは長文2題です。ただし、3番目のパートはある場合とない場合があるのが厄介です。というのは、ここで第3パートがない場合は、リスニングのパート数が追加されることになるからです。また、リーディングで3パートある場合は、いずれか(だいたいは第3パート)のパートがダミーとされています。何度も受験すると問題が同じなのでどれがダミーだか分かることがあるんですが、ダミーも採点される場合があるという説もあるので、空欄のままにしておくのは危険です。

リーディングで出題される長文は、800字程度(今はもっと長くなっているかもしれません)の英文を読んで択一の小問に回答する形式です。受験英語やTOEICのように文法が出題されることはありません。小問はいくつかのパターンに分類され、類義語を選択させる単語問題や、代名詞が何を指しているのかを質すようなオーソドックスな問題から、ある一文の要旨を表す文章を選ぶものや、文章全体の要約文を選択(複数)させるものまであります。長文1本につき12、13問の小問があり、通常15点の配点です。長文3つ(ダミー以外)なので計45点(場合によって若干前後するようです)ですが、これが30点に換算されます。

時間は最初のパートが20分、残りの2パートが各40分です。各パートごとに時間が区切られているので、前のパートで時間が余っても次のパートに使える時間は変わりません。
限られた時間で長文を読解して多くの小問に答えなければならないので、時間との勝負になるため、いかに早く文章全体の大要を把握するかが重要で、そのための訓練をする必要があります。学術論文調なので、各パラグラフの一文目だけ読んでいけば、概略をつかむことができるため、そこだけ読むという攻略法もあるんですが、このあたりの解法は人によりけりなので、自分に合った方法を探すのがいいでしょう。

100点越えのためにはリーディングで28点くらい得点しておきたいところですが、個人的には25点が一つの壁だと感じました。25点までは割と早くいくのですが、そこからが大変でした。
基本的な力となるのは何といっても単語力です。このテスト特有の専門用語が多く出てくるので、専用の単語集で語彙を鍛えることが重要です。
あとは、地道に問題集をこなして読むスピードを鍛える。これに尽きます。
日本人は受験英語でリーディングに慣れているので、このパートは比較的早期に高得点が狙えるようになるはずです。

3.LISTENINGパートの勉強法

リスニングは日本人が一番苦手とするところですが、TOEFLでは最も重要なパートでもあります。
時間はかかりますがやった分だけ伸びますし、やらないと絶対に伸びません。スランプになると途中でくじけそうになりますが、毎日少しずつでも英語を聞いてとにかく音声に慣れる必要があります。

最も重要なパートといったのは、リスニングが実質的にTOEFLの得点の半分近くのウエートを占めるためです。これは、リスニングパート自体の配点は全体の4分の1ですが、スピーキングやライティングのパートでもリスニング力が問われる問題が出題されることによります。そのため、リスニング対策にはかなりの時間を割くことになると思います。
リスニングは3つのパートから構成されますが、前述のとおりリーディングが3パートある場合はリスニングは2パートとなります。

各パートは大問3題で構成されており、それぞれ3~5分程度の会話や講義を聞いて小問に回答する形式です。大問1はキャンパスでの会話で、トラブルを抱えた学生に他の学生や教授がアドバイスや意見する内容が多いです。小問は当然その内容に関する質問。大問2と3は大学での講義で、専門的な内容です。自然科学から人類学まで多種多様な内容が語られるので、場合によっては日本語でもいまいち内容が理解できないときがあります。

話されるスピードはもちろんネイティブレベルなのですが、レクチャー形式ということで日常会話に比べて、話の構成や文法がしっかりしている分聞き取りやすくはなっています。慣れてくるとこの部分は質問されるなという感覚がつかめてくるので、そうなるとしめたものです。
正解率を上げるにはかなりの練習時間を要しますが、対策としてはシャドーイングとディクテーションがメインです。
シャドーイングは英語を聞きながら輪唱のようにそのあとを反復する練習法です。目的は音を正確に捉えるようにすること。

一方、ディクテーションは聞き取れない音を洗い出してそれを叩き込む効果があります。聞き取れない音を何度も聞いて複雑な音を頭に覚えさせることができます。もっとも、注意すべきは音を聞き取れることと、聞き取った音の意味を理解することとは別問題だということ。
音を理解につなげるには、音を聞いてその意味を頭でイメージするトレーニングを繰り返し行うということが効果的なようです。海外ドラマなどを活用するのも手です。

4.SPEAKINGパートの勉強法

スピーキングは一般の日本人には一番点数を上げにくいパートです。

最初の2題がお題が与えられて回答する問題で、続く2題が文章を読んでそれに関する会話や講義を聴いた上で問われる質問に回答する問題。残る2題が会話や講義を聴いて、質問に回答する問題です。回答時間は最初の2題が45秒ほどで、残りが60秒ほどです。
何を話すかを考える時間はそれぞれ30秒もないため、何も知らずに受験すると、フリーズして何も言えなかったっていうこともあるらしいです。

ただ、高得点を取るのは難しいですが、質問に関連する内容を何とか時間いっぱい話せるくらいになれば、20点前後まで持っていくことは比較的早くできます。そこから上を目指すのが大変なんですが。
よくテンプレートをいくつか暗記しておいて、そこに関連するワードを入れて答える方法が推奨されていますが、これは無言を回避するためには有効ですが、高得点を狙うには限界がある点に注意が必要です。

問題が複雑化してきているので、最近の傾向はまた変わっているのかもしれませんが、発音やアクセントが採点において重視される傾向があるようなので、レコーダーで自分の回答を聞いて発音矯正をするのも有効です。
なお、100点を取るためには、スピーキングで22点くらいは欲しいところです。
なるべく話す習慣をつけるためには、最近はやりのオンライン英会話を活用するのも手だと思います。

5.WRITINIGパートの勉強法

ライティングはコツをつかめば短期間で高得点を狙えるパートなので、早めに点数を挙げていく必要がある場合は最初から重点的にやるといい結果につながりやすいです。
100点以上を目指すなら、28点くらいを取れるようにしたいところです。
ライティングは2問構成で、最初がスクリプトを読んだ上で、関連する講義を聴いてそのサマリーを作成する問題。次が課題に基づく自由作文です。

1問目はリスニング力が関わってくるので、聞き取りに自信がない場合はまずそこで苦戦することになります。はじめのうちは聞き取れなくても推測で何か書くようにするのがポイントです。ただ、高得点を目指すにはポイントをしっかり押さえる必要があるので、こればかりはリスニング力が伸びてくるまで辛抱が必要です。

2問目の自由作文は、論文を書くように段落構成を意識する必要があります。予備校などで勧められるのは、4段落構成で、まず最初に結論を簡潔に書いて、具体例を交えつつ理由を2つ記載、最後に結論を言い換えて締めるというものです。お題はある程度決まったパターンがあるので、あらかじめ定番の質問の回答を20個くらい頭に入れておくことで点数が安定してきます。分量はできるだけ長い方がいいですが、25点以上狙うには400語以上は書く必要があるのではと思います。

6.おすすめ教材

TOEFL関連の本はたくさん出版されていますが、個人的に使ってよかったものは以下の通りです。

【単語】
・ワードパワー 5000(CD別売り)
※単語と一緒に文例が載っているので、セットで覚えると効果倍増です。

・TOEFLテスト英単語3800
※定番はこちらのようです。100点を目指すにはレベル3まで押さえれば足りるらしいです。

【問題集】
・Official Guide
※公式の過去問なので、受験前に必ず目を通しておきましょう。音声はリスニング対策で繰返し使えます。

・Longman
※若干易しめですがボリュームは十分。

・Delta
※やや難易度は高めですが使い勝手が良いです。

・Mastering Skills for TOEFL iBT
※各パートごとに出ているのですが、Readingはレベルはもちろんのこと、分量が充実しています。CDもセットになっているので、リスニング用にも使えてなかなかのコスパです。洋書なのでアマゾンなどで購入する必要があります。個人的に一番よかった問題集です。
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